電子帳簿保存法承認状況を国税庁が公表している
平成30年度統計年報「5 その他 電子帳簿保存法承認状況」
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https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/sonota2018/denshichobo.htm
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徐々に利用者が増えている。
平成26年 165,372件
平成30年 225,391件
国税庁ホームページ
電子帳簿保存法に基づく電磁的記録による保存等の承認状況より抜粋
領収書の保管って大変
紙の領収書は、きれいに整理してファイリングする。
コクヨのバインダーみたいなやつに。
領収証を台紙に貼ったりする場合もある。
ファイルすると、結構な保管スペースが必要になる。
僕は、株式会社ばかりみてきたけど、
外部の倉庫に借りて保管しないといけないぐらいだった。コストもそれはそれは相当なもの。
保管しなければならないのは、
後に述べる通り、会社法やら法人税法等の法令に定められているからだ。
個人事業者ならなおさら
何年も個人事業主をされている方は、領収証の保管、多すぎ問題でお困りではないだろうか。
楽しい人なんているんだろうか。
本業と関係のない作業というのは厄介だ。
実際、保管にスーパーのビニール袋とか、何かの箱に入れてあるだけという状態の方も多いと思う。
実際にお菓子の空き箱に医療費関係領収証の束が入っているのをみて、
なんともいえん気持ちになったことがある。
なぜ領収証を保管しなければならないのか
領収書は、物品購入や役務、サービスに対して金銭等を支払ったことを証明する。
これにつきる。
相手方から何重にも代金を請求されることも防ぐことができるというのもあるが、
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民法第486条 - Wikibooks
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支払ったことを証明するということは、税務申告における「経費」を証明するのに役に立つ。
「経費」は会社や個人が、取引等により収入を得るための対価(犠牲)のようなものだが、
その「経費」が真に実在するものかは、領収証がよりどころになる。
確定申告の際に税務署に経費に関連する書類を提出する際は必ず領収書と
定められているのだ。
領収書の保管期間
適正公平な課税を担保するという錦の御旗の下、国税庁では所得の申告に使用した「帳簿」や「書類」の保存期間を設けている。
上記によれば、領収書は「書類」にあたる。
この書類の保存期間だが、法人と個人事業主では異なる。
個人事業主でも確定申告の種類(青色申告、白色申告)によって異なる。
領収書の保管期間は、
法人の場合、
- 7年(2004年まで、大法人は7年それ以外は5年となっていたが改正)
個人の場合、
- 青色申告者は7年(前々年の所得が300万円以下の場合は、5年)
- 白色申告者は5年(事業所得が300万円以下の場合」という例外があったが、現行領収書の保存が義務付けられている)
ココに注意
保存期間の数え始め(起算点)は、
法人の場合は、法人税申告期限日、事業年度の終了日の翌日から二ヶ月を経過した日から7年となる。
個人の場合は、確定申告をした年の確定申告期限日の3月15日の翌日から起算して、7年あるいは5年となる。
個人の場合は申告の種類を変更したとき、保存期間がかわるので注意が必要だ
蛇足的だが、個人で「消費税の仕入れ税額控除の適用を受けている場合」は、
消費税法で仕入関連の領収書の7年間の保存が義務付けられている。
白色申告や一部青色申告者は、所得税法上の領収書保存期間が5年に該当する
所得税においても仕入れ税額控除の適用を受ける場合には、7年間
帳簿と請求書や領収書などの保存義務が生じる。
参考条文
法人税施行規則第59条
所得税法施行令第63条
電子帳簿保存法で、書類の電子保存が可能
紙の領収書を電子化してしまえば、保管のためのスペースは必要なくなるし、
帳簿や書類とのファイリングバトル、
台紙貼り付け作業が驚くほど少なくなっていいじゃないかと
皆そう思ったに違いない。
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https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/01.htm
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「電子帳簿保存法」は当初あまりうまくいかなかった?
「電子帳簿保存法」で、一定の要件を満たすと電子データとして保管が可能になったのだ。
だがあまり普及しなかった。
会社はともかく、個人事業主には。
改正を続けた結果、ようやく整理、保存に台紙に貼りつけるなどの面倒な作業から
解放されるのではないか、という状況になってきた。
最近は、いろいろなベンダーがスマートフォンの専用アプリを使って、
紙の領収書をスマホ撮影したり、デジカメ撮影したり、
スキャナで読み取らせることによって電子化が簡単にできて保存ができるようになった。
まとめてみよう。
けっこう長い。
スキャナによる保存 徐々に要件が緩和
1998年から2005年 制度開始
「電子帳簿保存法」は、1998年7月から施行されている法律なのだ。
結構古い。
「紙」での保存が義務付けられていた帳簿書類を、「電子データ」として保存することが認められたのは大きい。
ここでいう「電子データ」は「磁気テープ」や「光ディスク」(CD-ROM、MOもそうだっけ)に格納されたものを指す。
帳簿の印刷データを電子帳票化する専用ソフトやパッケージが必須で、
紙帳票をスキャンして保存する要件は厳しすぎた。
電子帳簿保存法で国税に関係する帳簿書類のスキャナ保存がオーケーなったのは、
2005年の改正からだ。
「e-文書法」のテコ入れで、ようやく実現。
ただし、スキャナデータ自体に電子署名しろとかめんどくさい。
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e-文書法 - Wikipedia
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2016年1月1日改正 要件緩和するも…やっぱり面倒
続く、2016年1月1日から施行の改正により、スキャナ保存の要件が緩和された。
しかし、スキャナ保存での電子化の要件として
- スキャニング手順の流れを明確しろ
- 改ざん防止のための複数人数で相互チェックする手順化を行え
- 定期的な監査を行え
と、本業にリソースを割きたい個人事業主には依然、難しい要件をこさえたのだった。
個人チャレンジャーな人はいたのだろうか。
2017年1月1日からスマホ・デジカメ撮影でスキャン可能に
電子帳簿保存法はさらに改正され、2017年1月1日から、電子化の要件が緩和された。
主に緩和された内容は、
- スキャンによる電子化は、デジカメやスマホ搭載カメラでもよしとした
- 複数人数によるクロスチェックを、税理士による定期的な確認でよしとした
電子化の要件緩和がおこなわれたことで、税務関係帳簿書類の電子化は、
ちかごろ、数多出現している経費精算のオンラインサービスを使えば、
個人事業主でも負担なく電子化実現できるようになった。
電子化したら、原本は捨てていいの?
これまで、電子化した紙の原本を保管することは義務づけられていた。
原本を保管するかしないかは、納税者の判断による。
従って、紙の原本は捨ててもいいはずだが、念の為に紙の原本を残している場合もあるようだ。
電子帳簿保存法の第2条「電子取引」とは
電子帳簿保存法の第2条では、どのような帳簿が国税関係帳簿になるか、
電子取引とは何を指すのかを定義している。
電子取引とは
取引の情報が、電磁的記録の受け渡しで行われる取引全般を指すもの。
例えば、取引すべてがオンラインで完結するネット通販、
Eメールで発注し、Eメールで納品書や領収書が送られてくる形式の商取引等が該当する。
個人事業主であれば、商売に必要備品等をネット通販で購入するとか、
メールでやりとりして、その料金をPaypal請求書を相手に送るとか、オンライン決済するなど、が電子取引になる。
要は、ネットつかった取引はとにかく電子取引。
電子取引した領収書は、紙に印刷が必要なのか?
電子帳簿保存法の第10条(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)では、「電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない」と定められている。
なんのこっちゃという感じだが、電子取引の取引データは、漏れなく取ろうということた。
つまり、領収書を紙に印刷までして保存するということは、法的に必要ではない。
ネット通販購入がいい例だ。
ネット通販などで購入した場合、領収書は電子メールに添付されるなどして送られてくる(もしくは専用のWEBページを使って領収証を確認できるとか)。
このような場合は、領収書が電子データになっているので、紙に印刷して保存する必要はない。
ただ、ネット通販なのに、購入した品物に紙として領収書が同梱されているならば、
EメールにWEBページにも電子データがない場合は、スマホなどで撮影し電子化する必要が生じることにはなる。
領収書を電子化するには、税務署長の承認が必要
電子化した領収書を正式な書類として申告に利用するには、
届け出やスキャン装置の準備が必要だ。
手順は3段階となる。以下の通り。
1段階目 電子化の3ヶ月前までに税務署へ必ず事前申請を行う
ちょっとややこしいが、
前年の1月1日の3ヶ月前までに、税務署に電子化を申請し許可を受けなければならない。
令和元年の9月30日までに申請、許可を得たならば、
令和2年の1月1日以降の電子化領収証は確定申告に使えるということだ。
もちろん令和2年の確定申告は、翌年令和3年2月16日から同年3月15日までに行う。
2段階目 スキャン装置の条件をクリアする
電子帳簿保存法では、スキャン装置に要件がある。
領収書をスキャンして電子化する機材の要件は次のとおり。
- 解像度200dpi(A4サイズでだいたい387万画素相当)以上で読み取り可能なもの
- カラーで読み取れるもの(一般的な書類は白黒でもOK)
じゃあ、「一般的な書類ではない」書類とは、出納帳や仕入帳のようなお金や物の動きを表す書類だ。
とにかく手持ちのスキャナ、スマホ、デジカメのどれかで、以上の条件をクリアできるか確認しなければ
ならない。
3段階目 タイムスタンプ認定業者との契約が必要
電子化した領収書には、改ざんを防止するため、
後述するタイムスタンプ(日付と時刻を電子ハンコ)を付与しなければならない。
タイムスタンプは認定された業者が付与する。利権。
認定業者とタイムスタンプの付与契約とかほんとめんどくさいが。
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https://www.dekyo.or.jp/touroku/
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タイムスタンプとは
タイムスタンプとは、電子データが特定の時刻に存在し、特定の時刻以降に改ざんなどの加工が
されていないことを保障する証明書をいう。
データに埋め込む
タイムスタンプ機関のタイムスタンスサーバというもの使うと、タイムスタンプの発行を行うことができる。
タイムスタンプのハンコの押すわけではなく、
スタンプ対象のデータに証明者と、スタンプした日付と時刻を埋め込む。
なお、タイムスタンプが付与されていない領収書は、正式な書類として確定申告に用いることはできない。
4段階目:電子データの保存に不正はないかなど、税理士による定期的な検査が求められる
タイムスタンプ導入の事前準備、最終段階だ。
定期的に、領収証など電子化した情報を検証する税理士が必要になる。
検証方法は、こんなのやるってこと?
引用元:一般社団法人 日本データ通信協会 ホームページより
以上は事前の準備にすぎない
実際、領収書をスキャンするにはなかなか大変だ。
個人事業主が領収書を電子化する方法はあるのか
パソコンにインストールするタイプ。
ウェブブラウザを操作して、「クラウド型」がある。
インストールするタイプは、インターネットに接続できなくても使えるのがメリットだが、デメリットには、インストール作業自体に手間がかかること、法律が改正されたときに、対応バージョンへのアップデート作業を、自分で行う必要がある。
- デジカメ、スマートフォンでオーケー
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受領者が、デジカメ、スマホで読み取りした場合本人署名で速やかに(3日以内)にタイムスタンプを付与することが要件である。
- 書類の大きさがA4以下なら大きさの情報は保存不要
- 受領者が読み取りしたら、受領者以外の者が画像内容を確認
- 相互けん制でオーケー
- 小規模企業者の場合、税理士の定期的な検査で、先の相互けん制は不要
クラウド型のメリット
- インストール作業がない、すぐに使えること
- 法律改正があっても、自動的に対応したバージョンにアップデートする
クラウド型のデメリット
デメリットはインターネットに接続しなければ何もできない。
双方のメリットとデメリットを考えると、インターネットの接続環境がすでにあり、
すぐに領収書を電子化したい方には、クラウド型の経費精算システムはうってつけだろう。
領収書を電子化できるクラウド型の経費精算システム
マネーフォワードクラウド経費
マネーフォワードクラウド経費は、経費の精算をスマホで完結できるシステムだ。
- 経費の精算は全てスマートフォンアプリで
- 領収書の電子化に必要な税務署などへの申請書類のフォーマット
- 領収書やレシートはスマホアプリで撮影して、自動で電子化が可能
- 交通系ICカードを読み取って交通費を計上
- メール、チャット、電話などのサポート体制あり
- タイムスタンプ付与などの電子化要件を全てクリア